KANSAI WORLD MASTERS GAMES 2021

WMGをする人

2020/10/14

vol.03 第一線を退いても、ずっと関わっていたいです~中垣佑太さん・フラッグフットボール~

参加者はマスクやグローブを着用、2週間前から健康チェックを行う―。感染症対策をしたうえで開催された「ワールドマスターズゲームズ2021関西 フラッグフットボール リハーサル大会」<2020年9月20日(日) 神戸市立王子スタジアム>
「子ども、女性でもできるスポーツ」と聞いていたのですが、いざ試合が始まってみると、かなりのスピード感!相手チームの守備を抜け、タッチダウンを決めた時の爽快感は、アメフトさながらではありませんか!
今回、アメフトからフラッグフットボールへ転身し日本代表にも選ばれた中垣さんにお話を聞きました。

 

マスク着用での試合・・どうでした?

清水 マスク着用での試合、なかなか異例でしたね。
中垣 はい、初めてですね。
清水 大丈夫でした?
中垣 これは、スポーツ用のマスクなので、僕は楽ですけど、どうなんでしょうね、人によっては、熱中症の可能性もなくはないと思うので。
清水 そうですね。普段とはちがう試合で、調子は狂わなかったんですか?
中垣 まぁ、使い慣れたボールの方がやりやすかったりはします(今回は感染症対策のため新品のボールを使用する決まり)けど、大丈夫でした!

 

清水 私は今日、初めてフラッグフットボールを見ましたけど、「タックルがない」と言っても、やっぱり、スピード感のあるスポーツだし、アメフトとかラグビーの経験者とかが有利なんじゃないかなと思うんですけど。
中垣 いや・・・必ずしもそうではないんです。日本代表として出る国際試合とかでは、「身長190cm、足も速くて肩も強くて」っていう選手と対戦しないといけなかったりするんですけど、作戦とかテクニックでやりようがあるんです。
清水 へぇ。
中垣 僕も高校までばりばりアメフトをやっていたので、大学1回生の時、「フラッグフットボールの試合でも勝てるかな」と思って出たら、なんと、全然勝てなくて・・・おもしろいですよね。このスポーツが身体能力だけじゃないっていうのは実感しましたね。

 

中学・高校で打ち込んでいたアメフトを断念

清水 フラッグフットボールとの出合いは?
中垣 アメフト好きの父の影響で自分もアメフトに興味があって、小学生の時、地元のフラッグフットボールチーム(「WMGを作る人」vol.04鴨谷さん が教えるチーム)に所属したのが最初のきっかけです。で、関西学院大学中学部、高等部ではアメフトに打ち込んでいました。
清水 かなり、本気でされてたんですね。
中垣 でも、けがで高校最後の試合に出られなくなって、一時はアメフトが嫌いになり、試合とか見てさえもなかったんです。そうしているうちに、鴨谷さんから、「フラッグフットボール教室の講師に来てくれないか」と声かけてもらって。
清水 そうなんですね。
中垣 そこで、フラッグフットと再会して、「アメフトの道は絶たれたけど、フラッグフットで日本一を目指すこともできるんじゃないか」と意識を変えたんです。当時は、自分の通う大学にフラッグフットボールチームがなかったので、自分たちでチームを創設しました。今でこそ、学生チームも増えてきたんですけど、当時はあまりなかったですね。
清水 確かに、私が大学生の時も、フラッグフットのチームはなかったです。
中垣 チームを作るというところから始めて、学生のうちに2度、目標だった日本一になることができました。

フラッグフットで日本代表へ

清水 日本代表に選ばれたのは、いつの時ですか?
中垣 社会人になって九州で働き始めて、福岡の社会人チームに所属していたんですが、その時に日本代表に選ばれました。
清水 自分で言うのは気恥ずかしいと思いますが、自分のプレーの強みはどういうところですか。
中垣 僕は、ポジションでいうと、レシーバー、コーナーバックをすることが多いんですが、ボールを取るキャッチ力に自信があります。まぁ、投げたり、走ったりするのも、そこそこできるのかなと思っています。

所属チーム「京都ジュベナイルズ」の作戦会議(ハドル)

 

清水 今日は、「京都ジュベナイルズ」のユニフォームを着ておられましたよね。
中垣 はい、今年からジュベナイルズに所属しています。実は、大学の時からライバルだったチームで(笑)。日本代表が、候補選手も含めて一番多く所属するチームです。
清水 どんなチームですか?
中垣 日本一を目指してストイックに練習しているチームです。LINEで、日々どんなトレーニングをしているのか共有したり、練習風景などはビデオに撮って、その振り返りをやって改善したりっていう感じです。時間が限られているので、どう使うかは、みんなで徹底していますね。
清水 具体的には、どういうトレーニングをしているんですか。
中垣 基礎的なウェイトトレーニングとか、あと、10mくらいの距離を走り続けられる体力をつける練習をします。まだマイナースポーツなので、国際大会でも、1日に2~3試合が3、4日間続いたりとか、ハードスケジュールが多い。なので、練習では短い距離を何回も走るんです。具体的には、20秒に1回、10ヤードをフルダッシュ、それを40本するのが1セットで、それを4セット繰り返します。この練習をすると、実際の試合の方が楽なくらいです(笑)。マラソンの体力ともちがう、そういう持久力が必要なのは、他のスポーツにはあまりないのかもしれませんね。

 

第一線を退いても、ずっと関わっていたいです

清水 ワールドマスターズゲームズは“生涯スポーツ”の国際大会なので、第一線の方に、聞くのもなんなんですが(笑)、来年の大会は…出られますか?
中垣 はい、出ます!ちょうど、来年は30歳になる年で、ぎりぎり参加資格があるので、出たいと思っています。
清水 おぉ、よかったです。
中垣 ワールドマスターズゲームズって、それまで知らなかったので、どんな試合になるか、楽しみですね。

 

清水 中垣さんは、言ってみれば、小学生の時からずっと、フラッグないしアメフトを続けてこられてますが、フットボールを続ける理由って、何ですか?
中垣 今の目標は、チームの日本一と、再び選手として日本代表に選ばれることですが、現役を引退しても、何らかの形で関わっていきたいと思っています。
清水 もう、引退後のことを考えているんですね(笑)
中垣 そうですね。そう考えるきっかけになったのが、福岡のチーム時代の経験です。九州はラグビーは盛んなんですけど、アメフトもフラッグフットもマイナーで…競技人口を広めようと、社会人フラッグフットボールチームが、小学生に競技を教える時間があったんです。
清水 へぇ。
中垣 しかも、チームの練習時間の半分が教室の時間で。僕が九州を去る時、その教え子の子たちから「フットボールの楽しさを教えてくれてありがとうございます」とか「中垣さんみたいなプレーめざします」と寄せ書きに書いてくれて。

 

清水 それは、いいですね。
中垣 そういうこともあって、現役後も何らかの形で関わって、「やっぱり、この素晴らしいスポーツを広めていきたいな」と思ってます。それと、なんだかんだ言って、フラッグフットボール、楽しいですしね

 

取材・構成 兵庫県広報専門員 清水奈緒美