WMGをする人
2020/02/06
オリエンテーリングたじま2日間大会(2019年10月26(土)&27(日)開催)。
1日目、競技終わりの女子更衣テントの中で、ものすごく鮮やかな手際で着替えとアフターケアをしている女性がいました。
徳島県から参加の松本和美さん(64歳)。「優勝」に「全国ほとんど遠征した」に…聞けば聞くほど、すごいワードが飛び出ますが、「40年、ずっとそういう生活なんでね」。松本さんは、あくまでケロッとお話しされるのでした。
清水 オリエンテーリングを始められたきっかけって、何だったんですか?
松本 社会人になって、会社勤めをしてた時に、「オリエンテーリングの常設コースがあるから、行ってみーひんか」と誘われたのがきっかけやったんです。それが19歳くらいで。もともと、スポーツは好きだったんですが、家ではさせてもらえなくて…。運動クラブに入ると、帰りが遅くなるでしょう。家の手伝いをしなあかんかったんで。
清水 そういう理由ですね。
松本 でも、走るんが好きで、中学ではマラソン大会は1位になるくらい。私、山の子なんで、毎日登校で鍛えられてたんですね、体は小っちゃいですけど。香川か岡山の常設コースに行って。その後、中四国大会に出たんですけど、優勝しちゃって、1回目で。で、優勝したので、その上の西日本大会出たらそこでも優勝しちゃって、全国大会にも行けたんです(笑)。あまり人数もいなかったですけどね。
清水 いきなり優勝しちゃったら、楽しくてしょうがないんじゃないですか?
松本 小さいころから山は遊び場だったので、「なんか自分に合って」っていう感じですね。ちょうど「何かしたいな」と思ってた時だったのもあって。
清水 大会で行った一番遠い遠いところはどこですか?
松本 だいたい、日本の全部…秋田、青森、山形以外は全部行きました!大会に行って競技して、すぐ帰ってくるだけで、観光する時間がないんですけど。土曜に仕事が終わって夜行乗ったり、寝台列車で行ったりして月曜には戻ってくるっていう感じで。
清水 海外のワールドマスターズゲームズはどうですか?
松本 2017年のニュージーランド、オークランド大会に出ました。これが初めての海外の大会でした。これが、今までで一番むずかしかったですねぇ。試合会場は、松林で。どこ見ても一緒の景色!で、結局ゴールするのに5時間もかかって(笑)。私、マップアウトしてましたし、最後、捜索が来ました。
清水 ベテラン選手の松本さんでも、そうだったんですか…。
松本 松林は目印がないので、自分がどこにいるのかすぐ分からなくなっちゃうし、コースを決めるのも、すごくむずかしかったです。
清水 オリエンテーリングはおもしろいですか?
松本 おもしろいですよ。マラソンは決まった道、行くじゃないですか。でも、オリエンテーリングは、自分で自分に合ったルートを決めて行くところがおもしろい。前の人に付いていくわけじゃないので、ルート選びで失敗しても自分の責任だし、成功したら自分のあれやし。あと、相手を倒さなくていいスポーツなので、そこも好きですね。
清水 2021年のマスターズゲームズは楽しみですか?
松本 世界の人と一緒に走ることが楽しみですね。いつかスウェーデンの林とか行ってみたいんですけど、兵庫の会場はそんな雰囲気もありそうですし。
松本 「生活がオリエンテーリング中心に組み立てられてる」っていうか、練習して遠征してっていう生活で。家族にも理解してもらって。出産とか、けが以外は、若い時から走って練習してるので、健康管理はできるのかなと思います。同年代の人より体力はあるし、精神力もあるかもしれません。「やせよう」とか別の目的のためだったら、なかなか続けられないけど、オリエンテーリングの大会のために走ってるんで。もう習慣。人生100年時代ですけど、こういう目標があれば、続けられますね。
清水 すごいです。どこも悪いところないですか?
松本 どっこも悪いところないですね。膝も痛くないし。頭とかは分からないですけど(笑)。故障して病院行ったことはありますけど、高血圧とか、なんとかの薬を飲んでいるっていうこともないですし。
清水 大会ほんちゃんに加えて、ついでの楽しみってありますか?
松本 とんぼ帰りだった昔とちがって、今は観光する時間もあるので、今回も「竹田城に行こうか」言うてますけど、明日のロングコースもあるので、明日は死んでるかなと思います。次のマスターズゲームズも、5日間くらい戦わなければいけないので。でも、香美町は、前もカニを食べに来てね、みんなで。天橋立行って、城崎温泉行って、香美町でカニ食べて、市場にも行ってカニ買って、余部鉄橋見てっていう感じ。カニすごく美味しかったけど、びっくりするほど高くもなくって。若い時は、鉢伏や氷ノ山にスキーに来たりもしてました。
清水 へ~!アクティブですね、松本さん!
松本 だって、1回しかないですよ、人生。もう1回ってできないじゃないですかぁ。やりたいことやらないと(笑)。
取材・構成 兵庫県広報専門員 清水奈緒美