KANSAI WORLD MASTERS GAMES 2021

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WMGをする人

2020/12/07

vol.05 体はボロボロです(笑) でも、昔戦ってた海外選手と会えるかもしれない~佐伯美香さん・ビーチバレーボール~

「ワールドマスターズゲームズ2021関西 ビーチバレーボール リハーサル大会」(2020年10月17(土)南あわじ市慶野松原ビーチバレーコートにて)。一度延期となり、小雨の降る秋に開催されました。

 

試合が始まる前のエキシビジョンマッチとして、南あわじ市長ペアと対決したのが、バレーボールでアトランタ五輪(96年)に出場、ビーチバレーでシドニー五輪(2000年)と北京五輪(08年)に出場し、シドニー五輪では4位入賞に輝いた佐伯美香さんです。

「オリンピアンのプレーやいかに!?」と会場が注目するなか、意外や意外、聞こえるのは「しんど~い」の声ではありませんか(笑)。

 

元チームメイトで元ライバルとプレー。実に、約30年ぶり!

清水 今日は久しぶりの試合だったんですか?
佐伯 そうなんです、2人目の子どもを産んでから、試合はしてなかったので、7~8年ぶりですかね。08年の北京オリンピック後、ツアーとかには出てたんですけど、それぶりで。エキシビジョンマッチでよかったですよ(笑)。
清水 今日、ペアを組まれた西岡幸子さんは、ユニチカ(株)時代の先輩なんですよね。
佐伯 はい。今日は、樫野さん(西岡さんの旧姓)が引退して以来ぶりで。ユニチカ時代は、樫野さんは先輩ですけど、同じポジションで、ある意味ライバル同士だったんで、そんな先輩と久しぶりにプレーできて、ほんと楽しかったですよ。
清水 はい、なんだか楽しそうでした。
佐伯 最初は「15点マッチ、長いですー」って言ってましたが、もっとやりたかったくらい(笑)。ここのコート、砂も結構深いし、よかったです。

清水 これまで、ここ慶野松原で試合をされたことはありますか?
佐伯 あります。試合もしてますし、毎年来てると思います。
清水 ビーチバレー会場としは、こちらのコートはどうですか?
佐伯 毎年ツアーも開催されていて、運営面でもしっかりされているし、今日、「ベンチができてる」と思って。すごくいいのができてて、「長年やってると、どんどんこうやって形になってくるんやなぁ」とびっくりしました。


清水 ロケーションもいいですしね。
佐伯 ここ、すぐ横が海じゃないですか。ビーチバレー会場といいながら、海辺にないことも多いので、ここはまさに“ビーチ”。雰囲気もいいと思います。

 

競技としてのビーチと引退してからのビーチ

清水 ビーチバレーへの転向はどういう理由からだったんですか。
佐伯 「もう一度、オリンピック行きたい」と思ったのが理由です。ユニチカ時代に出場したアトランタ五輪では、思うような結果を残せなくって。日本代表チームとしては、「これからは背が高い若い選手を育てる」という方向だったんですが、私はバレーボール選手のなかでは、あまり背も高くないですし、次の五輪開催時には29歳になるっていうのもあって転向しました。
清水 そうだったんですね。
佐伯 アトランタ五輪から、ビーチバレーが正式種目になりましたし、夏場に何度かやったこともあったのでビーチを始めたんですが、今から24~5年前って、ビーチバレーをやる環境はほぼなかったんですよね。でも、地元愛媛で応援してくれるっていう企業も見つかって、五輪を目指すことができました。オリンピックを目指すなら、海外遠征に行かないといけないんですが、金銭的にもバックアップをしていただいたので、2度目のオリンピック出場があったのかなと思います。

清水 現役を引退されてから、ビーチバレーとの関わり方は変わりましたか。
佐伯 今は大学を指導していたり、小学生対象にスクールをやってたりするので、指導がメインですね。思うのが、世界と比べたら、日本はビーチバレーをする環境が整っていないなということです。ジュニア世代が「ビーチやりたい!」って言ってもやる場所がない。
清水 確かに。ビーチバレーコートってないですね。
佐伯 ロサンゼルスで合宿した時に、海辺で70代~80代くらいの方がビーチバレーやってるのを見たんです。かなりお年寄りで、あまり激しくは動けないんですけど、コートの中で、すごいうまいことプレーして楽しんでおられる。「十分、生涯スポーツになりうるな」と思うんです。でも、海に行ったらビーチバレーのコートがあるかというとほとんどないですし、プレー時期が夏っていう制限もあるし。もっともっと普及していってほしいですね。

 

2人だから大変。2人だから楽しい

清水 素朴な質問なんですが、2人でバレーをやるって大変じゃないんですか?
佐伯 大変ですね。2人だから、2人ともがレシーブもトスも打つことができるんですけど、これ、3人になると役割が決まってしまうんですよね。2人制で大事になってくるのが、相手との駆け引きです。なので、ビーチは年齢がいけばいくほど、いやらしいプレーをしたり、なんてこともあります(笑)。
清水 若くて、すばしっこく動いたら勝てるというわけでもないんですね。
佐伯 そうなんです。「日本代表のバレーボール選手が、じゃぁ、いきなりビーチに出て勝てるか」というとそうでもなくて、砂で思うように動けなかったり、風があったりして、むずかしいんです。

清水 向かい風でも、追い風でも嫌ですよね。
佐伯 いや、風下の方が有利なんですよ、ビーチは。追い風だと、ボールをちょっと強く打つとアウトになるので、コートチェンジでなるべく自分が風下にいる間に多く点数を取るかが大事です。
清水 なるほど。ビーチだから楽しいところは?
佐伯 必ずボールを触れるのは楽しいですよね。そして、代わりの選手はいないし、コーチもいないし、自分の役割も大きいですね。あと、賞金もあります(笑)。

 

私でも五十肩なるんやって(笑)
でも、WMGで、昔戦ってた選手たちと会えるかもしれない

清水 佐伯さんは、2022年のワールドマスターズゲームズに出場しますか?
佐伯 2022年は50数歳…。出ると決めれば、目標ができていいかもしれませんね。今年、愛媛で国内のマスターズ大会が予定されていたんですけど、コロナでなくなって。大会アンバサダーを務めていたのもあって、出場するためにトレーニングを始めてたんですけど、中止になった途端にトレーニングもやめちゃって・・(笑)。
清水 そうだったんですね。
佐伯 そのマスターズの前は、トレーナーつけて週1~2回くらいトレーニングしてましたからね。だから、WMGに出るためには、トレーニングから始めないと。
清水 佐伯さんのような方でも、トレーニングからなんですね。
佐伯 もうね、長年酷使してきたからか、体がボロボロです(笑)。何もしてなくても、関節は痛いし。運動しなくなって、今まで筋力で体を支えてきてたのがよく分かりましたね。「やっぱ、運動と食事だったんだなぁ」って。筋肉を付けるのは時間かかりますけど、ほんと落ちるのは一瞬ですね。
清水 では、今は運動はほとんどできていない感じなんですね。
佐伯 ま、近所のおじちゃん、おばちゃんたちとぐるぐる公園を歩いてたり、バレーの指導で1日に何千本ってくらいボール出しはしてたりしますけど、そんなの運動じゃないですしね。利き手の肩は大丈夫なんですけど、使ってない方の手が上がらなくて、「私でも五十肩になるんや」って思いましたね(笑)。
清水 「スポーツをバリバリしてたら、なんとかなるよ」って言ってほしかったです(笑)
佐伯 ならない、ならない。でも、WMGは今から1年半後・・いいくらいの準備期間かもしれませんね。目標を決めて、1年半あったらやれるかもしれない。

 

清水 出場する場合のペアは、誰と組むんですか?
佐伯 愛媛に、ビーチバレーのオリンピアンが4人いるんですけど・・あれ?大会に出るのって、同じ年代同士で出ないといけないんですよね?
世良田(WMG事務局職員) いえ、年代はちがってもいいんですけど、年齢が若い人のカテゴリーで出場することになります。
佐伯 それは、嫌ですね(笑)。最初にペアを組んでた方が私より年上なので、50代で出られるようにしようかな。
清水 もし、参加者の方で「大会に出場してみたら、相手ペアが佐伯さんだった」とか「オリンピアンだった」ってなると、ラッキー・・?!いや、アンラッキーですかね。
佐伯 どっちでしょうね。でも、世界中から選手が来るってなると、私たちが昔戦ってた選手たちが来るかもしれないですよね。そういう人たちに会えるってだけでも、大会に出るのはいいのかもしれませんね

 

取材を終えて

オリンピアンの佐伯さんから、「五十肩」という言葉が出たのは意外でしたが、同時に、とっても親近感が沸きました。鍛えると体がよみがえり始め、辞めれば元に戻るのは、オリンピアンも私たちも同じなのですね。
そんな佐伯さんが着ていたTシャツには「Oriental Witches=東洋の魔女」の文字が。東京五輪で金メダルを取った大日本紡績(現ユニチカ)貝塚女子バレーチームの強さを称えて付けられたニックネームです。当時の活躍を私は直接知りませんが、ユニチカ記念館(尼崎市)で見た、当時の試合の写真や偉業が脳裏をかすめ、「わ!東洋の魔女チームに所属していた方が、東洋の魔女Tシャツを着ておられる!」と興奮しました。2022年、慶野松原で、舞い戻る魔女を見られるかもしれません。

 

取材・構成 兵庫県広報専門員 清水奈緒美